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レーザー治療、睡眠時無呼吸症候群

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迷走ハーレー2000キロ

2017/08/30

大人になって出来ることが増えました。出来なくなったことも増えました。
出来るようになったこと、知らない国に何の準備もなく旅行する、雨の深夜に病院の渡り廊下を暗黒の窓の外を眺めながら歩く、お世話になった方に伊東屋さんの便箋でお礼状をしたためる、飛び込みの寿司屋のカウンターで季節のネタをつまむ。
出来なくなったこと、自転車の両手離し運転、素手で蝉をつかむ、気になる女子の前でピアノを弾く、正体をなくすまで飲む。
今年の夏休み、出来ることが一つ増えました。というか、前からの小さな夢をかなえました。北海道ソロツーリングです。少し長い話ですがお付き合いください。

ここ3年間、なごや耳鼻咽喉科はお盆の週を診療してその翌週に夏休みを取っています。
今年も8月19日の土曜日の診療の後、夏休みをいただきました。土曜日の午前中60人の患者さんの診察をして、急ぎ自宅で荷物をまとめ、土砂降りの常磐道をひた走り、茨城県大洗からフェリーに乗り込みました。目指すは北の大地です。

初めてのロング・ソロ・ツーリング。夢の北海道ハーレー一人旅のはじまりです。
知床の世界遺産を見たい、旭山動物園を見たい、霧の摩周湖で泳ぎたい、地平線までの道を走りたい。
5年前にバイクの免許を取ってから、北海道に漠然と憧れがありました。
免許を取るきっかけになったのは、東北大震災。そのお話は以前のブログで書いた通りです。

さて、初めてのカーフェリーは新造船。車庫の階には荷物を山ほど積んだバイクの群れ、写真でしか見たことがないような凄いサイドカー、気分は上がります。
商船三井フェリー、大洗→苫小牧、カジュアルクラス大人13,000円位、大型2輪16,000円位。カプセルルームのようなカジュアルルームは一人旅では快適な空間です。
フェリーのラウンジで早速北海道バイク旅の達人と知り合い、いろいろ御指導いただき、ルートが決まりました(何の準備もない旅行でした笑)。
予定、
① 苫小牧14時発→帯広
② 帯広→釧路→根室
③ 根室→開陽台→羅臼→ウトロ
④ ウトロ→知床世界遺産観光→ウトロ
⑤ ウトロ→網走→層雲峡→旭川
⑥ 旭川→美瑛→富良野→苫小牧
予定はざっとこんな感じです。

北海道初日、船中泊の後14時苫小牧上陸後、市場でホッキ丼です。
最初から絶品!こんなに大きくて柔らかくて旨味のあるホッキ貝は食べたことありません。

元気をいただいて、ぜひ行くべしと推薦の帯広のライダーハウスに向かいます。
ライダーハウスというのは、北海道に多い自転車やバイク旅行者が主な利用者の簡易宿泊施設です。倉庫みたいな雑魚寝スペースで布団なし、寝袋持参で、食堂や土産物店に併設する場合もあり、宿泊無料のところもあるそうです。ちょっとハードなイメージですが、バックパッカー時代を思い出し突撃です。
そうした宿は他の旅行者から旅の情報を得るという利点があります。
襟裳岬に向かう道の途中から日高道に入る途中で、なんと!フェリーの中のバイクの達人がスピード違反で捕まってました。ちょっと不安な気持ちのまま占冠から高速に入り、帯広のライダーハウス、やどかりの家に到着しました。オーナーご夫婦はとても親切で、初心者の私に銀マットと寝袋を貸してくれました。
紹介してもらった銭湯がまたローカル感満載で素敵。



お一人様焼肉で早速ジンギスカンを食した後、戻ってきたヤドカリさんは、例えるならば梁山泊。
北海道に通って20年のベテランライダーから、横浜在住早稲田大5年生、アイドルのような大阪大学2年女子、日本一周中のチャリダー、60過ぎの仏様のようなカブ主ご老人。みんな和気あいあい。若ければ沈没しそうな場所かな。昔のタイ・バンコクの安宿街か。そして飲み会の後は麻雀!なんと昭和な時間。

2日目は朝から釧路まで走り、昼前にお約束の和商市場で勝手丼。割高だが楽しい(町の人は回転寿司をお勧めとのこと)。その後釧路湿原に向かい、最後8kmがハーレーにはきついダート道(砂利道)の先に、細岡展望台はラッキーな晴天でまさに絶景でした。次は厚岸で名物の大粒とろとろカキフライが美味すぎで、食い倒れの旅は続きます。
それから根室を目指して走った霧多布の湿原の中の道が素晴らしく、来てよかった北海道!

たどり着いた納沙布岬で2人のライダーと知り合いました。一人は愛知の農業会社社長と、もう一人は世界一周経験のある大阪の女子ライダーで、二人とも新婚なのに一人旅行中。その日の宿泊は落石岬のとほ宿。とほ宿とは、布団あり食事ありで数人同室の民宿。主人は九州出身。同室の自転車旅行者は、元小学校教員でまさかの67歳。北海道、面白すぎる!

3日目、雨の走り出しでライダーの憧れ開陽台へ。そして日本一有名な村道、北19号を走る。
地平線までの直線10km道はざらにある中、空まで続く絵になる道。その次は野付岬。幽玄な枯れ山水につながる、両脇が海の中の一本道。北海道をバイクで走る楽しさがここにあります。



オホーツク海に出て羅臼から知床半島を北上し、漱石温泉へ。コンブ漁師さん所有で無料ですが、海岸に脱衣所もない丸見えの岩風呂一つ。満潮では水をかぶりぬるくて入れないそうですが、入ったら50度はある海水熱湯風呂。そこを根性で入り北方領土ににらみを利かせた後、羅臼に戻り有名な熊の湯へ。ここは森の中の露天風呂で、白湯の泉質は最高!名物爺さんは健在でこちらも無料。

その後の知床峠でやっと晴れ、道沿いで巨大な角を持つエゾシカとご対面、さすが世界遺産です。
峠を下り美しい夕陽の中ウトロヘ到着。宿は民宿・石山さん。ここの夕食が旅行中で一番でした。

4日目。目玉は知床世界遺産クルーズ!3時間8,000円の海旅です。9時ウトロ出航、途中から晴天になり、野生のヒグマ、イルカ、そして絶景。岬の向こうには国後島。防寒具と望遠一眼と一脚(と椅子)はマストです。戻ってウトロの道の駅で鹿肉&熊肉バーガー。熊肉はちょっと臭みがある肉だけど普通に食べられます。イノシシみたいだけど硬くはない。鹿肉はもっと癖がなく上品なハンバーガー。牛や豚ではない味。ジビエと言えばもっと売れるかも。


その後、網走に向かい、斜里郊外では北海道的な地平線までの15kmの直線道。大地を感じます。
濤沸湖湖畔の道も絶景。超幸せ感にひたれます。
そして網走と言えばお約束、監獄博物館で開墾の黒歴史をお勉強。宿はファームイン・アニマの里さん。



同泊のスペイン人グループとなぜか北海道で国際交流。饒舌なご主人は、羊と馬を飼い、じゃがいも6トンを生産しています。しかし大型農家は600トン!生産との事。

5日目。西から雨が迫って来るという予報のため、能取岬をあきらめ層雲峡に向かいました。温根湯温泉・北の大地の水族館を覗き大雪山系へ。たどりついた層雲峡からはロープウェイ、リフトを乗り継ぎ黒岳の7合目まで往復2,700円。リフトの下50cmは幻想的な高山植物のお花畑でした。
層雲峡温泉は上品な透明泉。
そしていよいよ旭川に向かい、旭山動物園へ到着。
ペンギンは空を飛び、アザラシは床から天井へ駆け上がり、至近距離のシロクマは大迫力、テナガザルはターザン。さすがの行動展示です。
旭川といえばはずせない、でラーメン村の梅光軒で本場のコク醤油味を堪能。

その後日が暮れてしまった東川町でまさかの闇夜の迷子。旅人宿ゆうさんに向うも、信頼のiPhoneグーグルマップが導いた先は山へと向かうダート道。暗闇を30分さまよってたどり着いた宿は超昭和でした。
鶴見出身の勇次隊長、大阪外語大スペイン語科卒の奥さんご夫婦も、お客さん達も温かい人達で素晴らしい飲み会が開かれました。その中にはなんとツーリングマップル北海道の編集担当・小原信好さんご夫婦もいて、絶好調トークで盛り上がりました。北海道の道の神様と元広島日赤病院オペ室師長の奥様。そして岡山と四国からの常連さん2家族と、地元の友人の方々も参加していました。地元民にも旅人にも愛される宿。宴会途中で隊長が教えてくれた雨上がりの夜空の天の川。ちょっと感傷的に20年ぶりに満天の天の川を見た夜でした。

6日目。朝、僕のバイクの写真撮影で宿中が盛り上がり、東川モンベル2階の小原さんの写真展。
写真集・北海道絶景ロードセレクション、素晴らしい!



その後お勧めいただいた、美瑛→青い池→十勝岳温泉に向かうが雨、吹上温泉へ、透明泉でした。
そして富良野では富良野神社祭に遭遇。勇壮な弥栄太鼓を楽しみ、富良野~美瑛の道沿いのメロンはびっくりする甘さ。夕張顔負けです。そしていよいよ占冠から高速で苫小牧へ。
1845のフェリーに乗る前に何を食べたかは秘密です(ヒントは苫小牧と言えばカレーラーメン笑)。

そして7日目。14時に大洗にたどり着いたフェリーから再び走りだし、夕方に無事帰還しました。
走行距離、2023km。1週間の小さな冒険でしたが、北海道を十分楽しむことが出来ました。
出会いがあり、ご馳走があり、感動がありました。心は北海道フリーク、また行くぞ!