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blog ナゴブロ 院長ブログ

宝島よ永遠なれ

2018/11/16

今、空前の吹奏楽ブームと言います。
中学の部活の中で吹奏楽部は大所帯のところが多く、特に女子の人気部活です。
中学高校のお子さんをお持ちのご家庭ではご存知でしょうが、情熱を捧げる青春の1ページであり、今や多くのコミックや映画のモチーフになっています。
私が学校医を引き受けている横浜市田奈中学校の吹奏楽部は、神奈川県の強豪校で全国大会での入賞歴も多く、長津田の誇りとも言える存在です。

そんな彼ら・彼女らが目指す全日本吹奏楽コンクール。決戦の舞台は、長く東京杉並の「普門館ホール」でした。
吹奏楽経験者ならその間は皆ご存知でしょう。
高校野球といえば甲子園。そして吹奏楽といえば普門館。そういう存在でした。
普門館を所有しているのは、立正佼成会。仏教系の新興宗教なので生臭い話になりそうですが、そこはあくまで中立な立場で青春の目標・音楽の聖地として、上手にそして立派に唯一無二の存在として4700席を備えた大ホールは君臨していました。
そんな普門館に衝撃が走ったのは2012年。前年の東北大震災の後の耐震調査で耐震強度が問題になり、42年間の栄光を終了、閉館になったのでした。

2018年11月5日から11日にかけ、いよいよ解体が決定した普門館は粋なイベントを行いました。
普門館の見学ツアーを開催し、全国の吹奏楽部員の憧れであったステージを解放し、大舞台上で持参した楽器の演奏を許可するというものでした。
そこに素早く反応したのは、中学・高校時代に吹奏楽部員だったうちの息子・・ではなく、その父・すなわち私でした笑。
「あんなに夢中になった吹奏楽だろ、そこは自分の青春に落とし前をつけるために普門館の舞台で音を出してこい!」
むしろ強引に息子を誘い、10日土曜日の夜に普門館へと向かいました。10日の公開は夜9時まで。

うちの息子は神奈川県の吹奏楽の強豪校で部活に参加していました。吹奏楽の強豪校は高校野球の強豪校であることも多いのですが、彼も野球部の活躍で甲子園のアルプス席で演奏したこともありました。パートはパーカッション。
持参する楽器はスネアドラムの予定でした。しかし・・スタンドが見つからない!
バタバタと親子は、カホンを担いで普門館へと向かいました。

たどり着いた普門館は、環状7号線沿いの巨大な立正佼成会の敷地の中に悠然とたたずんでいました。
急ぎ足で当日の入場口である楽屋入り口に向かいます。
実はこの日、土曜午前診療が終わった後、僕は長津田からバイクで一度普門館に下見に行っていました。午後3時くらいに到着した時に入場口の前は大行列ができていました。隣の駐車場には地方の学校が仕立てたらしい観光バスが何台も駐車しています。
皆思い思いの楽器を背負っておとなしく入場を待っている入場希望者、その数なんと2000人超。会場整理の人は「一度に数百人ずつステージに上がってもらいます。時間は30分くらいの入れ替えで」と言っていました。

果たして夜7時30分は・・行列なく待ち時間なしでバックステージから夢の大舞台へ!
それから息子にとって夢のような1時間が始まりました。
ステージ上には下は中学生から上は僕と同年輩のプレイヤーが鈴なり。そして、いきなりの吹奏楽曲セッション!

学生吹奏楽の定番曲に「宝島」という名曲があります。原曲は日本のフージョン(古い!)バンド・Tスクエア。1986年の発表です。
そして87年に日本吹奏楽界の巨匠・真島俊夫のアレンジで希代の名曲になりました。
演奏する楽しみと、聴いてわくわくするメロディー。
中学・高校の吹奏楽部員であればで一度は演奏したでしょう。みんな大好きな名曲。
昔のギターキッズが必ず弾いた「天国への階段」的な存在なのかな。
最後の普門館のステージで、この名曲は何度も繰り返し演奏されました。

みんなを煽るアゴゴ・ベルが鳴り響くと、それがスイッチ!人が楽器がどんどん増えていき、演奏の波が広がっていきます。
それは本当に感動的なシーンでした。
みんなキラキラしている。
制服の中学生や高校生も多かったのですが、元吹奏楽部員、アマチュア吹奏家のみなさん。
みなさん、頬を染めてそして本当に楽しそうに演奏していました。
クラリネット、トランペット、サックス、トロンボーン、フルート、ホルン、チューバ、ユーフォニウム。
スタンド付きスネア、シンバル!、小パーカッション楽器、そしてコントラバス!
即席大所帯吹奏楽団と、息子くんのカホンw。
同じステージの上でとても濃い空気の中に浸れた元吹奏楽部員の父と母は、幸せなひと時をかみしめたのでした。