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令和のはじめに西の地で一人想う(第三章)

2019/05/30


時を巡る旅の第三章


鹿児島・知覧で太平洋戦争の勇者であり犠牲者であった特攻隊員に鎮魂の祈りを捧げた後、僕は長崎へとハーレーを走らせました。旅の最後の目的地へ向かうためです。
第三の目的地は、軍艦島。

三菱財閥の金脈の一つとして日本の近代化を支え、その異形な姿で強い印象を与える元祖バブル島。
日本一有名な廃墟。「007」「進撃の巨人」などの映画でインスタ映えする美貌を晒す「世界遺産」。
しばらく上陸不可だった軍艦島ですが、今年の2月から内部が整備され観光上陸ツアーが再開されました。全くの観光目的ですが、ここには一度行きたかった。なんかかっこいいから!
流石にこの観光船だけは1ヶ月以上前に予約しておきました。何しろ大人気。
鹿児島から北上し長崎市を目指すには、熊本で有明海を渡るのが近道になります。ここでフェリー乗船になりますが、予約なしの旅にGWの大混雑が重なり乗船不可と言われてしまいました。げげ、有明海沿いを走るのかと覚悟したら、地元ライダーに裏技の別フェリーを教えてもらましいた。いつもギリギリの旅です笑。

長崎に着き、中華街へと繰り出します。横浜の中華街を見慣れている身にはとても慎ましい街並みです。それでも本場のちゃんぽんと春巻きを美味しくいただきました。
さて翌朝、平和公園のグランドゼロで黙祷し大浦天主堂を覗いて、いよいよ軍艦島です。

船会社は軍艦島コンシェルジュ。ネットで宣伝を頑張っていたからです。通常4千円のところ、張り切って9千円のプレミアムチケット。大人の一人旅ですから笑。
そして、結果は大満足です。

市内に軍艦島デジタルミュージアムという施設を持ち、ここがまず良い。島の華やかし時代を体感できるのと、プロジェクションマッピングを活用し、近未来的で観光資源としても良質です。インバウンドの観光客を期待する観光地は是非参考にするべきです。鎌倉あたりにも同じコンセプトを持つ施設があれば絶対集客するし、観光地の価値も上がるはずです。
いよいよ乗船ですが、天気が最高!快晴の観光日和。幸せ感2段アップかな。ガイドさんは元島民の方。高齢ですが名調子で解説がとても面白い。
そしてプレミアムチケットの優先度がすごい。シートが窓際で、島に近づくと船のデッキの特等席に案内されて写真を撮りまくり。名物アイスもいただける。上陸も最優先で、快晴の中ベスポジで写真や動画を撮れる、ガイドさんも気を使ってくれるという美味しいツアーでした。
おまけに大きなマグカップのお土産までいただき、バイク旅的にはかさばって荷物で迷惑したくらいでした笑。

上陸して思ったのは、やはり在りし日の日本の姿。私が小学4年生の時まで人が生活していた、ある意味接点のある場所。明治・大正・昭和と続く右肩上がりの日本の縮図。

日本初の高層集合住宅。診療所長の医師の給料は昭和30年代で、月給100万円を超えていたといいます。炭鉱で働く人たちやその家族が見ていたのは、どんな夢だったんだろう。
今は、一部「天空の城ラピュタ」のような緑をまとい、一部は荒涼とした崩壊寸前の近未来を暗示させるたたずまいの中に、その答えが幻のように存在するのを感じました。

三丁目の夕日のみんなが、同じ価値観で笑ったり泣いたりしたあの頃の夢。そのバラ色であり虹色でありセピア色だった夢を、失わなかった最後の場所なのかもしれません。
世界遺産、軍艦島。しかし老朽化は激しく、台風のダメージが容赦なくその老体を襲います。その姿を保てるのはそう長いことではないかもしれません。是非、あの頃の日本の幻をその目で確認しに行ってください。十分にその価値がある所です。

追加のエピソードを一つ。
帰路に考えていたのは、往路と同じサンフラワー号。大分港から神戸か大阪に海路を進み、船旅で体を休めた後に関西から横浜まで余裕で走破のプランでした。
しかし最後に試練が訪れました。キャンセル待ちのチケットが取れなかったのです。乗船総員700人だし数名はキャンセルがあるはず、でした。GW恐るべし。他の便もアウト。
同じキャンセル待ちで、ドカティ乗りの若きカメラマンと友達になり楽しい話ができたのが神様からのご褒美か。彼はもう1日キャンセル待ちを頑張ると言って残りました。
私は覚悟を決めて、大分から横浜へ1,100キロを走ることにしました涙。

翌日早朝大分から出発し、北九州から関門橋を渡り山口を抜け広島まで走り、やっぱり飽きました。高速道路はつまらない。こっそりしまなみ海道に降りました笑。
しまなみ海道の生口島に大好きな場所があります。平山郁夫美術館。

何年振りの訪問でしょうか。ブログを見返すと、2010年5月のブログにしまなみ海道の記事があります。9年振りの再訪をこの場所は暖かく迎えてくれました。
心が落ち着き整う場所。そして深く自分を振り返れる場所。やはり私にとっての特別な場所でした。

そこから四国に渡り、今治から徳島、淡路島から明石海峡大橋を通って神戸に着いた時はすでに夜。さらに東に向かい、流石に深夜の名古屋で力尽き、一泊しました。
翌朝味噌煮込みうどんで景気をつけ、ハーレーをかっ飛ばし、令和の大連休の最終日前日の午後に無事帰宅したのでした。

家に帰るまでが遠足です。
九州一周大人の一人旅、堪能させていただきました。4,025キロ。走ったなー。
自らをそして時代を振り返り、私の時間を巡る小さな冒険を締めくったのでした。