ナゴブロ【令和のはじめに西の地で一人想う(第一章)】

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[掲載日:2019/05/20]

令和のはじめに西の地で一人想う(第一章)


時を巡る旅の第一章


一人旅は、人を想う時間であり、自分を確認する時間であり、時を慈しむ時間だと思います。
平成から令和に変わるこのGWに、変わる時代を感じに西へとバイクを走らせました。
僕は若い頃から、ただ家に座しても気づくことは少ないと考える種類の人間だからです。
時代が変わる瞬間。今までにも感じた事はありました。
壁が崩壊した89年のベルリン。中東戦争前夜のリビア。TVでライブで観たNY911とその後の世界。311直後の石巻とぬるく凍結した福島。
時代が変わる。いままでのイメージでは悲劇を前提にした変化でしたが、今回は祝福された変化でした。そして、私はいまだかつてない大連休に、時を巡る小さな冒険へと旅立ったのでした。

旅の相棒はハーレー・ダビッドソン。一昨年去年、ともに北の大地を駆け抜けたダイナ・ローライダーです。
なぜ一人、ハーレーを走らせるのか。
めんどくさい乗り物だ。何しろ重い、荷造りが面倒。扱いづらく山道は油断出来ない。切り返しは最悪。燃費もバイクとは思えない。雨が降れば傘も差せず(バイクですから笑)、そして今回はクラッチレバーのステイが壊れた。あまつさえ、ナンバープレートが取れた。お陰で警察に追いかけられました。まったく漫画だね。
なぜ、ハーレーを走らせるのか。
それは、物がない幸せな時代に生まれ、工夫と想像力を武器に育ち、心はいつもアナログだった元少年の至福の時間だからである。へへ。

4月28日。土曜日の午前診療を終え、冒険への旅立とうと相棒にまさに跨ったその時、朝から泣きそうだった空はついに降り始めたのでした。
まじか。
とりあえずなかったことに、、、流石にできず、カッパを羽織って出発!しました。
当然悪い話は続きます。東名に入り足柄PAに着いた時は、まさに土砂降り。ブーツはすでに死んでいます。
この日の予定は東名、名神をひた走り神戸の友人宅に泊めてもらう予定でした。
ポッキリ折れた心。癒すのは休憩の高速道路のPAで声を掛け合うライダー達。心も体も芯まで冷えて、ようやく約束の地へ雨の500kmを走りきったのは、夜12時直前でした。
夜8時着約束を大遅刻した僕に最初は怒っていた彼ですが、実は風呂を沸かして待っていてくれていたのでした。やはり持つべきは友人です。家族が旅行中で単身の彼とは、結局深夜3時まで酒を酌み交わしました。
翌日、友人とお好み焼きと明石焼き、イカ焼きと王道ランチで食い倒れ、夕方のフェリーで神戸から情熱と神話の大陸・九州・大分へと海原へ乗り出しました。
フェリー・さんふらわあ号では謎の美青年ライダーとガッツリ飲み明かし、目覚めた朝には大分港に上陸です。最高の走り出しになるはずでした。雨さえ降らなければ。
雨で気持ちが上がらず、中途半端な気持ちで勧められた「別府温泉保養ランド」に行きました。本降りの中たどり着いたのは、よく言えば昭和レトロな建物。正直ボロい。
ここの最大の売りは混浴?の巨大な露天の泥湯です。結局こういうオススメのところには行ってしまいます笑。
男湯と女湯の入り口は別だけど、巨大な露天風呂の中でご対面!
しかしご安心、完全白濁のお湯に浸かっていると首から下は全く見えません。さらに男湯と女湯の間には、柵替わりの長い横棒があって男性は女性ゾーンには入れないようになっています。そして大勢の女性入浴客。
巨大露天の縁で大人しく浸かっていると、おっさんたちが柵に一列にしがみついて女性ゾーンを眺めているという、シュールで微笑ましい光景を見物出来ました。
この日僕が耳にしたのはおっさんたちのアジアの言語でした。こうしたおおらかなコミュニケーションの場所はアジアでも珍しいのでしょう。


さて、この日僕は湯布院温泉からやまなみハイウェイに道を進めるはずでした。しかしなんと!雨と霧でやまなみハイウェイは走行禁止涙。前途多難なGW一人旅です。
仕方なく雨の中、別府温泉に降りてくるとすごい場所をみつけました。
その名も「鉄輪温泉」。「かんなわおんせん」と読むのですが、正にハーレー乗りのための温泉じゃありませんか!

そこのライダーハウスに宿泊を決め、一軒家の宿にバイクを収めて(屋根付駐輪場!)バスで別府観光に出かけました。

別府市内の古い温泉の一つ、「竹瓦温泉」は道後温泉本館を彷彿とさせる由緒あるたたずまい。なんと入湯料100円!外国人も含め、観光客鈴なりです。

温泉好きにとって大分は西の聖地の別府。当然地方ならではの面白おじさんが登場しました。脱衣場でサイクルヘルメットを被って仁王立ち。そりゃ僕じゃなくても「自転車で来てるんですか?」と声掛けますよ。それがおじさんの罠なのですが、まんまとひっかかり、そこからおじさんの身の上話から始まり30分間ノンストップトーキング。すごい人でした。

お陰で別府の温泉事情をたっぷり教えてもらいました。市内に温泉は2500(!)程あり、その半分は町内会管理なのでなんと無料!とか、おじさん生い立ちから、町内温泉の一つの管理者をしてるけど自分は四国出身なので差別を受けているとか、別府の人は気取り屋で排他的で京都人と似てるとか、のんびりしてるから大陸の人たちにどんどん商売で負けちゃうとか、女性は東北が一番とか、まあオンステージ笑。ビールを一缶ご馳走して、一通り名調子を聞いてお別れしました。
鉄輪温泉に戻るバスに乗る前に、紹介してもらった駅前の絶品海鮮丼を食べてライダーハウスに戻ると、そこもまた楽しい集いが待っていました。
北海道ソロツーリングで初めて知った「ライダーハウス」。基本、相部屋で、場所により布団なし、中には宿泊無料なんていう驚くべきサービスまで。若きバックパッカー時代に利用した、ドミトリー式安宿のスタイルです。そこでは毎晩のように一期一会の宿泊者達の宴会が行われます。宿主さんの声掛けの場合もあります。旅の情報交換の場であり、思いもよらぬ出会いやふれあいの場で、旅の楽しみの一つ。
この夜のメンバーには変わった職業の人がいました。なんと猟師さん。それも2人。かっこよく?言うとハンター。ジビエ用の肉をおろす会社のプロの猟師という珍しい人と、静岡の猟友会員のハーレー乗りはセミプロハンター。僕も昨年、北海道知床峠で遭遇した巨大エゾシカの話で参戦です。
ケニーロードと博多ラーメンと天草とディアハントの話で、雨の大分の夜は更けていきます。
翌朝宿の皆さんと別れの挨拶の後、意気投合した若き猟師とハーレー2台で阿蘇を目指しました。変わらずの雨。霧で通行止めのやまなみハイウェイを諦め、東九州道から阿蘇に向かいます。白川湧水で大地の味を堪能し、道の駅「あそ望の郷くぎの」にたどり着くと、なんと僕の愛車のナンバープレートが無くなってる!

さてどうしよう。多分僕一人だと、やっちまった、、、しょうがない、諦めよう涙、となっていたことでしょう。しかし若い人は違います。「来た道のどこかに落としたんですから、戻って探しましょう」と力強く言ってくれました。そして探索走行なんと1時間。遂に!道端に落ちていたナンバープレートを発見しました。
このおかげで旅行の後半に警察トラブルを回避できました。佐藤くん、ありがとう!
その後阿蘇山麓のライダーハウスに向かう彼と別れ、僕は今回の旅の最初の目的地、高千穂神社へと向かったのでした。

高千穂神社。
天孫降臨の地である高千穂の八十八社の総鎮守。天照大神の孫の瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)を祭る、まさに神話のふるさとです。

平成から令和へと時代が変わる時、元号の元になる「天皇」の物語の出発点では何が起こるのだろう。旅に出るきっかけとなった思いです。

高千穂の街についたのはもうすでに日暮れ。高千穂神社は翌日の令和改元の準備をささやかに行っていました。あれ、こんなもんですか?人影もまばらでゆっくりとお参り出来ました。
それでも夕食の後、大きな目的の神楽を見るために再び鳥居をくぐりました。
平成最後の夜に天孫降臨の地で初めて見た夜神楽。そこで見た物語は決して神々しく気高いものではなく、むしろ暖かく泥臭いものでした。それは日本の象徴と言われる人のご先祖が、大地の民とともに生き、敬愛されていた証でした。
よほど伊勢神宮の方が高尚に演出されており、敷居高く政治的な場所であることを明確に発信しています。
翌日に訪れた天岩戸神社も同様で、神職の方に御案内していただける御神体の天岩戸洞窟拝観での解説がまたいい。アマテラスさんがどうやって神さまになったのか説明してくれる。
昔、天照大神という神さまがいましたって話より納得できる。宮司さんがこの説明でいいのかなって心配になるくらい。
今、宗教はとても慎重に語られねばなりません。イスラム文化圏とキリスト教文化圏の争いは世界を壊しかねない問題です。そこには歴史的な背景や、経済・貧困問題があり単純ではありません。しかし信仰が命がけのものではなくて、こうした生活の中の話題の延長であれば諍いになりにくいのでないかと思います。
時を巡る旅の第1章、神話のふるさと編でした。

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